2010年に株式会社kainaluを設立し、現在は私を含め4.5名の従業員と共に、「おたからや」事業と介護事業の二本柱で会社を経営しております。現在、主軸は介護事業へと移行していますが、私の事業家としての原点は「おたからや」にあります。
「おたからや」に加盟する以前は、約10年間タクシーの運転手として勤務していました。目標は個人タクシーの開業。しかし、個人タクシーの資格取得まであと1年という目前で、心臓疾患により心停止という事態に見舞われました。幸い一命は取り留めたものの、体内に医療機器を装着することになり、お客様の安全を預かる二種免許の仕事は続けられなくなりました。まさに人生の岐路でした。
何か新しい仕事を、と模索する中で、体に負担の少ない仕事を第一に考えました。当時は様々なフランチャイズの説明会に足を運びましたが、体内の医療機器の関係でIH調理器に近づけないなど、細かな制約があり、飲食店やコンビニエンスストアの経営も難しい状況でしたが、そんな中「おたからや」に出会いました。ブランド品の知識は全くありませんでしたが、「面白そうだ」という直感と、身体的な負担が比較的少ない点が魅力に感じられました。本当に深い考えがあったわけではなく、「とりあえずできることから」という気持ちで飛び込んだのが正直なところです。
加盟を決意した2009年当時、「おたからや」はフランチャイズ展開を開始したばかり。私が出店した大船店は、神奈川県ではフランチャイズ1号店、全国でも3店舗目程度という、まさに黎明期でした。今では当たり前であるフリマアプリもまだなかった時代ですから、世間では「買取」という文化自体が浸透しておらず、質屋の延長線上のようなイメージが強かった時代です。友人たちからは「2ヶ月で潰れるよ」などと心配もされましたが、これが私の新たな挑戦の始まりでした。
幾多の困難を越え「おたからや」と出会う。
買取黎明期から15年、あるオーナーの歩み

病からの再起を誓い、未知の扉を開いた「おたからや」
「本当にお客様が来るんだね」逆境から生まれた確信


オープン当初の半年間は、お客様が本当にいらっしゃらず、「いつ店を畳もうか」と真剣に悩む日々でした。オープン時間外には、まだ小学生だった娘を連れてチラシのポスティングに回ったり、考えられる限りの広告媒体を利用したりと、集客のために必死でした。さらに追い打ちをかけるように、オープン直後にリーマンショックが発生。経済全体が冷え込む中、買取相場も大きく変動し、まさに暗中模索の状態でした。店舗もビルの2階という目立たない場所。オープン初日に初めてお客様が来店された時、妻が「本当にお客様が来るんだね」と呟いた言葉が忘れられません。それほど、当時は厳しい船出だったのです。
創業当時はフランチャイズ黎明期ということもあり、研修内容や提供される資料も現在とは異なり、実践を通じて学ぶ部分が大きい時代でした。
例えば、高額品の査定に関しては、経験の浅さから冷や汗をかくこともあり、オープン当初は持ち込まれたお品物を買い取れないという悔しい思いも経験しました。利益の考え方についても、大枠を教わった後は現場での試行錯誤が求められました。そのような状況下で大きな支えとなったのが、同じ時期に加盟したオーナー仲間との繋がりです。まだ情報が少なかった時代、オーナー同士で貴重な資料を共有し合ったり、互いの経験から学び合ったりと、まさに手を取り合って知識やノウハウを蓄積していきました。
そんな苦しい状況が好転し始めたのは、オープンから半年ほど経った頃です。地道に続けていた接客が実を結び始め、お客様からの紹介が増えてきました。一人ひとりのお客様と真摯に向き合い、時には1時間以上もお話をさせていただくこともありました。そんな中、あるタウン誌に掲載した小さな広告が大きな反響を呼び、それまで閑散としていた店内に、お客様が途切れることなく来店されるようになったのです。この広告がなければ、今の私はいなかったかもしれません。リーマンショックの影響で、生活費のためにやむを得ず大切な品物を手放される方が増え、「この仕事は世の中に必要とされているんだ」と強く実感した瞬間でもありました。
現在のスタッフは、自ら学ぶ意欲が高く、日々の業務を通じて着実に成長してくれており、大変心強く感じています。以前は、私の私物の時計を教材にしたり、スタッフそれぞれが得意分野の問題を作成し、皆で解き合うといった取り組みもしていました。また、オークションに積極的に参加することで、実践的な商品知識や相場観を養うことも重視しています。
「おたからや」事業で培った経験は、その後始めた介護事業にも活きています。訪問看護にお伺いしたお宅で、ご不要品の整理や出張買取のご相談をいただいたり、老人ホームへのご入居に伴う家財整理のお手伝いをさせていただいたりと、事業間のシナジーも生まれつつあります。買取店のメンバーがしっかり店舗を守ってくれているおかげで、私も安心して介護事業に力を注ぐことができています。
15年の経験から語る:買取ビジネスの今と、成功への道標


創業から15年以上が経過し、買取業界も大きく様変わりしました。競合他社も増え、お客様の目もよりシビアになっています。そのような中で私たちが最も大切にしているのは、お客様にご納得いただけるような価格を提示することです。当社では介護事業も運営しており、複数の事業を展開することで経営基盤の安定化を図っています。この複数事業展開は「おたからや」事業との連携も可能にしています。例えば、介護事業で大量に消費する切手は、他店よりも高い価格で買い取らせていただいており、これが結果としてお客様の来店促進にも繋がっています。
長くこの業界に身を置く中で、本部との関係性も変化してきました。創業当時は、同じ志を持つオーナー同士の横の繋がりが大きな力となり、情報交換なども活発に行われていました。長い年月の中で事業環境も変化しましたが、そうした創業期に培われた助け合いの精神は今も大切にしています。
本部との関係においても、時には率直な意見交換を重ねながら、より良いパートナーシップの構築に努めてまいりました。現在の「おたからや」本部は、経営体制も一新され、加盟店にとって魅力的な施策、例えば宝石やブランド品の高価買取などを積極的に展開されており、その前向きな姿勢と変化を大変心強く感じ、高く評価しています。こうした取り組みは、私たち現場のオーナーにとっても大きな追い風となっています。
これから「おたからや」へのフランチャイズ加盟を検討されている方へお伝えしたいのは、買取業は介護事業などと比較して利益率は高いものの、景気や季節によって売上が大きく変動する「波のある」ビジネスだということです。しかし、不景気に強いという側面も持ち合わせています。私自身の経験からも、経済状況が良い時に伸びる事業と、厳しい時に伸びる事業を組み合わせることで、年間を通じた経営の安定化が図れると感じています。
大切なのは、「儲かるらしい」といった安易な情報に飛びつくのではなく、ご自身で市場を徹底的に調査し、事業の将来性を見極めることです。そして、加盟後は本部との連携を大切にしつつも、自ら考え、行動し、道を切り拓いていく覚悟を持つことが何よりも重要です。「おたからや」は、長年にわたりお客様からの信頼を積み重ねてきた確かなブランドです。その看板を背負い、ご自身の情熱と才覚で事業を成功させたいと考える方にとって、ここは素晴らしい挑戦の舞台となるでしょう。私自身も、現状に甘んじることなく、常に変化を恐れずに新たな挑戦を続け、会社を次のステージへと導いていきたいと考えています。
株式会社kainalu
代表 高橋 大祐
1996年~ 清掃業勤務
1997年~ タクシー会社勤務
2008年~「おたからや」に加盟
2025年5月現在、神奈川県で2店舗経営
エレベーターメーカー勤務
1996年~
清掃業勤務
1997年~
タクシー会社勤務
2008年~
「おたからや」に加盟
2025年5月現在、神奈川県で2店舗経営
株式会社kainaluのURLはこちら
https://totsuka.original-otakaraya.net/
インタビュー日:2025/04/25
インタビュアー:株式会社いーふらん
加盟店サポート営業部 SV 轟 昂至
広告戦略本部 広報 原 七海
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株式会社HK
株式会社kainalu
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